精神的逃避行

自分について、好きな物について

夜行バス

皆さんは経験したことありますか?
夜行バス、その名の通り夜を行くバス。
ワクワクしますね。

中学生の頃に、父親から『深夜特急』という本を押し付けられました。
簡単に言うと世界をあっちこっち旅する紀行物なのですが、脳内に入り込んでくる映像がリアルなんです。
行ったことも見たこともないような場所や人の映像が鮮明に脳内に映し出されるのです。
はっきりいって文章は何も覚えていません。

 

 

 

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

 

 

 

バックパッカー達のバイブルとも呼ばれるこの作品は、僕にもとんでもない影響を与えたのです。
いつか僕もリュックひとつで世界を渡り歩いてやるぜ、遠い異国の地に思いを馳せながら妄想の日々を続けます。
旅をしたい、他のことは何も考えていませんでした。無知というは素晴らしい、人生に色をつけて僕を導いてくれます。


現在の僕が中学生の頃の僕の「いつか」なのかはわかりません。
高校生の頃はワーキングホリデーもしてやりたいと考えていた僕、今ではすぐそこのコンビニに行くことすらできません。

そんな僕の夢もかなりのスケールダウン。
リュックひとつで東京へ、なにか野望がある訳でもありません。
ネットでテキトーに切符を購入し、何も考えずに家を出ました。

※3列シートでトイレ付き。これだけは外せません

そしていざ名古屋駅
全く知らなかったんですけど待合室みたいなのがあるんですね。
そこそこの大きさの部屋に、テーブルがあったり自販機があったりパソコンがあったりシャワー室までありました。
ビックリです。
そんなところにかなりの人が集まっていました。
バリバリの平日だというのに皆さん何をしに行くんでしょう。
いろんな人がいるんだなぁ
この中で何も考えてない人なんて僕だけだよなぁ
なんてことを思いながら本を読んで時間を待ちます。

ついにその時が来ました。
みんなでゾロゾロ移動します。
積み込む荷物がないのでそのまま座席へ、思っていたよりもゆったりできそうです。
本でも読みながらのんびりいこうと思っていた矢先に電気が消えました。
いきなりやる事がなくなってしまいました。

仕方ないので寝ることにしましょう。
寝るための騒音対策として僕が用意してきたことがあります。
それは耳栓とヘッドホン。
耳栓の上からヘッドホンをするというもの、完璧です。
何も聞こえません。
しかし最大の欠点が致命的でした。
耳が痛い、痛すぎる。30分持ちませんでした。
外してみると周りの様子が分かります。
隣はおっさんで前は女性でした。

気配を感じます。前の女性は何かを食べています。
そしてこれが臭い!チーズだ!チーズ系のスナック菓子。何を考えているんでしょう。食べるのはまだよしてとしてそのチョイス、なんとかなりませんでしたかね。

さらに横のおじさん。爆睡です。イビキをグーグー、しょうがないのかなぁおじさんだから、幸先不安です。

 

数時間走ったところでバスはサービスエリアで休憩です。

深夜のサービスエリア、これもまた我々をワクワクさせて止まないもののひとつです。

意味もなくコーヒーを買いました。

 

それから東京に着くまで、僕は眠りに落ちることはありませんでした。