精神的逃避行

自分について、好きな物について

「学生時代にやらなくてもいい20のこと」朝井リョウ

私はお腹が弱い 。

 

なんとも情けない文章である。

これがこの作品の第1行目です。

 

 

これもまた、タイトルに惹かれて購入を決意して作品のひとつです。

 

作者は朝井リョウさん、『桐島、部活辞めるってよ』でデビューを果たした作家さんです。

 

若者の心のもやもやというか、うまく言葉には出来ないような感情を、鮮やかで抽象的に表現するのが上手です。

 

何冊か読んだのですが、眩しすぎて僕には読み切れなかった作品もありました。

青春って、こういうことなのね・・・思い知らされました。

 

そんな僕でもスラスラ読めてしまったこの作品。

 

文庫版では『時をかけるゆとり』と改題されています。

理由はなぜか、『学生時代にやらなくてもいい20のこと』というこのタイトル。

上から下まで嘘だからです。

中身はおふざけおもしろエッセイです。

 

僕は改題されてしまったことを残念に思います。

巷に溢れかえるおバカさんホイホイとも呼べる自己啓発本に爆弾を投げ込むようなこのタイトル。

まぁ、ただのおふざけだとは思うのですが。

 

 

肝心の中身です。

いきなり作者のう○こ事情から始まります。

しかしこれが具体的でよくわかると、うんうん頷いてしまうのです。

 

 お腹が弱いというか私は器が小さいのだ、ビビりなのだ。

例えば大切な試験の前とか、それこそダンスのステージ直前などはもちろん危険である。

それ以外に、普段と違う場所に行く。ということだけでも私の腹は悲鳴を上げる。

 

 

 

その後は学生生活の思い出やらなんやら、

ふふっとにやついてしまう物も多いです。

 

 

面白い人の元に面白いことが集まるのか、面白いことが集まるから面白い人になるのか、僕の永遠のテーマです。

 

みなさんは、なにか面白い話をしてくれと言われてすらすらっと話し始めることが出来ますか???

僕には出来ません、長い間の悩みです。

実力不足なのかもしれません。

 

 

この本の中には、ためになることはひとつも書いてありません。

 

真剣に読む価値もないかもしれません。

 

ただ、部屋の片隅にポツンと置いてあって、気がついたときに読んでみる、ふふふっと思い出したように笑ってみる、

 

そんな本が1冊ぐらいあってもいいんではないでしょうか。

 

「君は愚かだね」

これが、私と眼科医の関係を決定づける、記念すべきひと言であった。

 

学生時代にやらなくてもいい20のこと

学生時代にやらなくてもいい20のこと

 
時をかけるゆとり (文春文庫)

時をかけるゆとり (文春文庫)