精神的逃避行

自分について、好きな物について

僕の人生、残り全部バケーション

僕の人生、残り全部バケーション!!!

 

東京初日の夜、カプセルホテルの部屋の中で日記帳にそう殴り書きをしたのを覚えています。

 

「今日仕事をやめたばかりなんだ」

「明日から、もう俺の人生、残り全部、バケーションみたいなものだし」 

 

東京滞在中に、本をたくさん読もうと思いました。

自宅から一冊、あとは現地調達です。

 

その記念すべき一冊目が、伊坂幸太郎さん『残り全部バケーション』です。

 

残り全部バケーション (集英社文庫)

残り全部バケーション (集英社文庫)

 

 

 

タイトルを見て即購入です。しかも作者は伊坂幸太郎、面白くないわけがありません。

内容は短編が五つ、直接話がつながっている訳ではないのですが、登場人物が同じだったり、視点が変わったりします。

 

「実はお父さん、浮気をしていました。」

家族で囲む食卓、お父さんの爽やかな告白から話が始まります。

そして話は広がって、伊坂作品お馴染みの裏稼業に手を染める男達、これがまたいいキャラしているんですよね。

冒頭のセリフは、そんな仕事から足を洗おうとする男のセリフ。

 

手を染めていたのに足を洗うのか・・・自分で書いていてふと不思議に思いました。

ほかに表現方法があるのかな?日本語って面白いですね。

 

この小説を僕は一日かからずに読み終えてしまいました。

面白すぎました。話の内容的にも読みやすかったというのもありますけど。

 

セリフのひとつひとつが心にしみてきます。

突き刺さるのではなくて、染みる、沁みる。

そんな優しい小説でもありました。

 

「こうやって、レバーをドライブに入れておけば、自然に前に進むから」

・・・

「レバーをドライブに入れておけば勝手に前に進む、って」

「なんか、気が楽にならない?気負わなくたって、自然と前には進んでいくんだよ」

 

僕の身体にもついているはずの、見えないレバーをドライブに入れてみます。